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PCカード

PCカード_a0057057_1416423.png私的文化遺産:整理番号13

PCカードとは、日米協調して規格統一を行ったパソコン用小型カード型インタフェース、およびその規格による拡張カードである。主に、ノートパソコンや小型の省スペース型デスクトップパソコンで利用され、PC向けインタフェース規格として初めて本格的なプラグアンドプレイ、ホットスワップを実現した。
当初は「PCMCIAカード」「PCMCIAスロット」などと呼ばれたが、平成5(1993)年に規格の統一呼称として「PCカード」が制定されたため、「PCMCIA」とは規格策定団体(のみ)を指すようになった。
ISAをベースにした従来型のものを16ビットPCカードといい、PCIをベースに32ビット化されたものをCardBus (カードバス)という。また、コンパクトフラッシュは、16ビットPCカードを小型化したもので、サイズとピン数以外はほとんど同じ規格である。
後継規格としてExpressCard (参考画像:Willcom WS008HA)があるが、これはUSB 2.0とPCI Express をベースにしたもので、PCカードとの互換性はない。

歴史:
昭和60(1985)年、日本電子工業振興協会 (JEIDA)(当時)に、ICメモリカード技術専門委員会が設置され、規格仕様の検討が開始された。当時はまだノートパソコンは存在せず、主に電子手帳向けの規格だった。
1989年に、米国でパソコン用メモリーカードの規格統一のための組織、PCMCIA (Personal Computer Memory Card International Association) が設立されたのを受け、平成2(1990)年にJEIDAの呼びかけで共同作業が開始され、JEIDAガイドラインVer4.0を基にして、PCMCIA Standard Release 1.0が発行された。当初は細部の互換性に欠けていたが、平成5(1993)年PCカードガイドラインVersion4.2/PCMCIA Standard Release 2.1をもって互換性が得られ、統一呼称「PCカード/PC Card」とロゴマークが制定された。また、JEIDAガイドライン Ver.4.0以降、ATA/AIMS (Auto Indexing Mass Storage) などI/Oカード仕様も制定された。
平成7(1995)年PC Card Standardとして統一規格が発行され、CardBus、3.3Vカード、マルチファンクションカードなど各種の新規格も盛り込まれた。
ICメモリカード技術専門委員会は、PCカード技術専門委員会に改組された後、JEIDAは現電子情報技術産業協会 (JEITA) に引き継がれている。

形状:
PCカードのサイズはクレジットカード大(長さ85.6mm×巾54.0mm :写真)で、厚さにより以下のように分類される。

Type I (3.3mm)
主にカード誕生期、SRAMカード、リニアフラッシュメモリカードに使われた。ただし、メモリカードとして需要がほとんどなく、Type IIとしても実用上問題なかったことから、ほどなく姿を消した。
Type II (5mm)(写真)
一番普及したカードで、主にATAフラッシュメモリカードや各種I/Oカードに使われた。Expressでは無いPCカードは、その殆どがType IIであった。
Type III (10.5mm)
主にATA HDDカードに使われた。ただし、マイクロドライブの登場後はほとんど使われなくなり、一部のネットワークカードで、モジュラープラグをカード後部に直接挿せるよう、この形状を採用したものもあった。
Type IV(10.5mm超、非標準)
一部のHDDカードで使われていた。一般的ではなく、早々に使われなくなった。
コネクタはカードの一端に設けられ、68ピンである。コネクタ部および側面ガイド部の厚さはすべて3.3mmであり、中央部の部品実装部分の厚さのみ異なる。Type IIIカードはType IIの厚さを上方向に倍にしたような形状であった。そのため、Type IIスロットが上下に2つある場合、利用できることが多かった。また、カード後部に突起部のあるカードや、外部機器との接続ケーブルのコネクタを備えたものも多かった。
Type IのカードはType IIのスロットに挿すことができた。また、Type II用スロットを重ねて設置することにより、Type I/IIカード最大2枚またはType IIIカード1枚を挿して使うことができ、ノートPCなどではこのようなスロットが一般的に採用されてきた。
しかし、以下のような理由により、小型の機種などでType IIスロット1つのみを備えるケースが多かった。
 フラッシュメモリカードの大容量化や超小型HDDカードの登場に伴い、Type IIIカードを使うことがほとんどなくなったため。
 各種デバイスの内蔵化や、USBなど他のインタフェースの普及により、PCカードを同時に2枚も使う必要性が減ったため。
 本体の薄型化のため。
またかつてはThinkPad などで、PCカードスロットを3つ設けた機種もあり、さらに、ドッキングステーションやポートリプリケーターを利用し、合計4つ利用できる機種もあった。また、各社のPCI Express に対応したチップセットを搭載したモデルでは、本体はPCカードスロットのみとし、ドッキングステーションにExpressCard スロットを持つものや、主にA4サイズ以上のモデルで、本体にPCカードとExpressCard の両スロットを備えるものがあった。
通常、スロット横にはイジェクトボタンがあり、これを押すと挿入したPCカードが押し出され、取り外すことができ、また、機種によってはスライドスイッチ状になっているものもあった。

ExpressCard (参考画像:Willcom WS008HA)は、ピン部と反対側が一般のPCカードのように54mm になったものもあった。

保存状態:個体保存


(参考資料:Wikipedia 平成25(2013)年6月1日更新)
by fbox12 | 2014-09-06 18:02 | 私的文化遺産