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私5 VHSビデオテープ

私5 VHSビデオテープ_a0057057_18234553.jpg整理番号/整理名称:私5 VHSビデオテープ
私的文化遺産/機器
名称:VHSビデオテープ

VHS(ブイエイチエス、Video Home System)とは、日本ビクター(現・JVCケンウッド)が昭和51(1976)年に開発した家庭用ビデオ規格で、同社の登録商標である。

当初は記録方式を表現したVertical Helical Scanの略称だったが、後にVideo Home Systemの略称として再定義された。
VHSの特徴として、ビデオの規格を原則として変えないことがあり、発売当初録画されたテープは現在流通している最新機種でも再生できる。テープは幅が1/2インチのカセットタイプで、標準録画時間が2時間だった。この形は現在では当たり前となったが、開発当時のVTRにはテープのリールが1つだけのカートリッジタイプがあったり(VHSの標準規格は2リール)、テープ幅やカセットのサイズもさまざまだったり、と互換性のない規格が氾濫していた。技術の進歩によりテープの長尺化が進んだ結果、240分が最長となった。また規格の範囲を大きく逸脱しないかたちでの改良を続けており、HQやHi-Fiオーディオ対応、ビデオカメラ規格のVHS-C、水平解像度400本以上の高画質機種S-VHSとそのビデオカメラ規格S-VHS-C、衛星放送などのPCMデジタルオーディオを劣化なく記録できるS-VHS DA(DigitalAudio)、アナログハイビジョン対応のW-VHS、デジタル放送対応のD-VHSなど幅広く展開している。すべての規格においてVHSテープの再生は基本的には対応している。なお、S-VHSの登場後は従来のVHSを識別のため「ノーマルVHS」または「コンベンショナルVHS」と呼ぶ場合がある。なお、上位規格であるデジタル記録のD-VHSでは地上デジタル放送・BSデジタル放送・CSデジタル放送などの無劣化記録が可能となっている。
ベータ、8ミリ、LD、VHDなどさまざまなメディアとの競争の結果、家庭用ビデオ方式としてスタンダードとなった。特に、DVD-Videoの普及以前は単に「ビデオ」といえばVHSを指すのが当たり前であり、関連企業も商品説明等でVHSの意でビデオという単語を用いていた(「ビデオ版とDVD版の内容は同一です」という表記や、VHSデッキを指して「ビデオデッキ」と称するなど)。
VHSのハードの普及台数は全世界で約9億台以上、テープに至っては推定300億巻以上といわれている。

歴史:
昭和31(1956)年に開発されたアンペックス社の巨大な業務用2インチVTRを始まりとして、NTSC方式をそのまま録画可能な回転2ヘッドヘリカルスキャン方式の開発以降、各社は比較的コンパクトなオープンリール式のVTRを発売する(方式はバラバラ)。松下・ビクター・ソニーの3社は家庭用も見据え、テープがカセットに収められたビデオレコーダー(VCR)の統一規格(Uマチック)に合意。発売したが、高価なこともあり、オープンリール式と同様に企業の研修用途、教育機関、旅館/ホテルの館内有料放送などが主な販売先だった。
本格的に普及する家庭用VTR機器を狙い、ソニーが各社に規格統一を呼びかけ、先行して開発・発売されたベータマックスが、Uマチックの小型化を目指して開発された経緯から録画時間の延長よりカセットの小型化を優先し、最長60分の録画時間でU規格と同等の操作性を確保すべく開発されたが、ビクターは民生用途としての実用性を重視し、カセットが若干大きくなることを承知で録画時間を最長120分として基本規格を開発。またメカ構造もU規格にとらわれず、より量産化に適した構造を目指し、家庭用VTRというコンセプトを明確にして開発・発売された。
先に発表・発売されたのはソニーのベータマックス(1号機・SL-6300)で昭和50(1975)年4月16日に発表、同年5月10日に発売。
昭和51(1976)年10月31日に日本ビクターがVHS第1号ビデオデッキ(品番:HR-3300)を発売、当時の金額で定価25万6000円。留守番録画のできる時計内蔵の専用取付式タイマーは別売1万円で、VHSの録画テープも当初は120分が6000円となっていた。また、シャープ、三菱電機も当初は日本ビクターの第1号機をOEMで発売していた。

平成20(2008)年に初代VHSデッキHR-3300が重要科学技術史資料(未来技術遺産)の第1回に登録された。

VHSの需要低下:
21世紀に入るとDVDやハードディスクレコーダ、パソコンの普及、高精細テレビ放送やBlu-ray Discの登場、多くの国でのデジタルテレビ放送の開始といった「デジタル時代」・「ハイビジョン時代」の中で、それに対応できないVHSカセットやVHS単体機は次第に売れなくなっていった。デジタルレコーダーとの複合機も、過去のライブラリーをデジタル化することに重点が移り、テレビ番組の録画ができないタイプのものが増える事態となった。ビデオ判定にも用いられたこともあったが、水平解像度が240本とアナログテレビ放送の330本より低いことから、正確な判定ができないケースも見受けられた。
こうした状況も重なり、日本ビクターは平成19(2007)年5月30日、経営不振による事業再建策として、VHSビデオ事業からの撤退・清算を発表した。平成20(2008)年1月15日にS-VHS単体機を全機種生産終了したと発表し、同年10月27日にはVHS方式単体機の生産を終了した。
ビクターの撤退により、日本国内メーカーのVHSビデオ単体機の製造は船井電機(フナイ)のみとなったが、やがてフナイも完全撤退した。以降はDVD、HDDなどの複合機として展開されていたが、大幅に縮小された。しかし各社はテレビの完全デジタル化を睨み、販売の主力をHDD併用のブルーレイレコーダーに移しており、商品ラインナップは縮小の一途をたどっている。これにあわせ録画用テープから撤退する事業者も相次いでおり、現在は日立マクセル、子会社のイメーションに事業を移しているTDKや、ビクターアドバンストメディアに事業を移したビクターが、有力メーカーとしては販売を続けているのみである。

記事参考資料:Wikipedia(最終更新 2016.7.20)
状態:現品保有(未開封のもののみ)

登録:2019.2.12 私的文化遺産(再編)

by fbox12 | 2019-02-12 22:16 | 文化産業遺産