fbox12 blog (博物館fbox12 館長の雑記帳)

伊豆箱根5000系(伊豆箱根鉄道株式会社5000系電車)

a0057057_17361764.png

概要:
伊豆箱根鉄道5000系電車は、同社大雄山線用の通勤形電車である。

それまで大雄山線の主力であった旧形国電や相模鉄道からの譲受車を置き換える目的で、昭和59(1984)年年3月18日から平成8(1996)年にかけて3両編成7本(21両)が東急車輛製造で落成した。
a0057057_15494271.png駿豆線用の3000系(右写真:注、写真は行き先が[伊豆長岡]となっているが、平成16(2004)年台風により不通になったときのもので、通常伊豆長岡行きの列車はない)をモデルに製造され、電装品やブレーキシステムは3000系と共通だが、車両限界が異なるため車体幅は2,800mmで裾絞りなしの形状となっている。従来大雄山線の車両が17m車であったのは、緑町駅近くに半径100mの急曲線があり車両の大型化が難しかったためであったが、この5000系では連結面間隔を広げて対処し、18m車とされた。
発電ブレーキ装備の抵抗制御車としては珍しく、駿豆線3000系2次車以降と同様に付随車遅れ込め制御を有する。また、編成中の補助電源装置は電動発電機 (MG) もしくは静止形インバータ (SIV) を1基のみ搭載していることから、これが停止してもバッテリー電源により自力運転できるよう、小容量のインバータを別途有している。
平成17(2005)年から車内つり革が変更されているほか、一部車両には車内案内表示器が設置されている。
第5編成以降は、関東地方では数少ない転換クロスシートを装備している。

増備による変遷:
第1編成
昭和59(1984)年製造。車体は普通鋼製である(上3000系と同じ青・白塗装)。大雄山線は小田原行きか大雄山行きしかないため、前面行先表示器は字幕式ではなく「バイナリー・ヘッドマーク (Binary Head Mark) 」と称される装置を採用した。「小田原」と「大雄山」の表示を固定で掲示し、裏から電灯で照らすものである。光線の具合によっては、点灯していない方の表示が読み取れることもある(下5003・5005写真)。

第2 - 第4編成
a0057057_168997.pnga0057057_1627288.png

昭和61(1986)年 - 平成元(1989)年にかけて製造。第2編成(上写真左5502F)からは、ステンレス製軽量車体に変更された。第2編成は当初第1編成と同様、先頭車の連結側に貫通扉があり妻窓は2段式であったが、扉はのちに撤去されている。これは第1編成も同様である。抵抗制御による制御装置・モーターがこの時期にはすでに日本の鉄道車両において主流ではなくなりつつあったものの(すでに多数がチョッパ制御からVVVF制御への過渡期)、引き続き採用された(後の第5 - 7編成も同様)。補助電源は第1編成がブラシレスMG (BL-MG) なのに対し、第2編成以降はSIV に変更されている。第3編成(上写真右5503F)と第4編成はほぼ同じものであるが、第4編成は当初側面の社紋が赤で塗られていた。当初から貫通扉がなく妻窓が下降式になり、ドアエンジンが静音形の同時期製造小田急8000形電車同様のものへ変更されたのが主な変更点である。

第5編成
平成2(1990)年製造。中間車の扉間の座席は転換クロスシートとされた。また各車両の側面に小型のLED式行先表示器が設置された。

第6・第7編成
第6編成は平成6(1994)年、第7編成は平成8(1996)年製造。前面に排障器(スカート)が装着され、パンタグラフは菱形から下枠交差形に変更された。また、行先表示器は「バイナリー・ヘッドマーク」からLED式に変更された。内装についても、全車両の扉間の座席が転換クロスシートとされた。
空気圧縮機 (CP) はHB2000から低騒音形のHS20に変更されている。第7編成には落成時から車椅子スペースが設置されている。ドアエンジンが再び変更され、第2 - 5編成よりさらに静音形のものになっている。

その他の更新:
平成11(1999)年にそれまでの昭和59(1984)年デビュー当初より15年使用されていた全テープ方式による自動放送装置(車内放送)を全編成において現行の新自動放送装置システムのコンピュータ(半導体メモリ)への一斉更新がされている(特に最終編成の5507Fはテープ式自動放送装置の使用はデビュー当初のわずか3年ほどのみとなった)。それに伴い、一部の放送内容言い回しの変更(「お忘れ物のないよう、ご支度願います」→「お忘れ物のないよう、ご注意ください」、「まいどご乗車ありがとうございます」→「ご乗車ありがとうございます」など)と声の主(女性)の交代が行われた。
平成17(2005)年から先述通り、それまでのいわゆる「おにぎり型」とも称された線路方向に沿った三角形のつり革(下写真甲種輸送車両内)を現行の枕木方向の三角形つり革へ順次交換し、現在はすべての編成で交換終了している。
その他にも時期不明なものの、一部編成のシートのバケットシートへの交換がされている。
平成22(2010)年頃からドアチャイムの設置を開始した。現在は全7編成への設置を完了している。3000系同様、新幹線700系電車などで使われている音色のドアチャイムを採用している。

運用:
大雄山線の営業列車は、当系列のみの運行となっている。全般検査等の重要な検査を実施する際は、東海道本線小田原 - 三島間で甲種鉄道車両輸送列車が運行され、駿豆線大場駅に所在する大場工場に入場する。

(参考資料:Wikipedia平成27(2015)年10月18日更新)

甲種鉄道車両輸送:
a0057057_2062135.png上記の通り、大雄山線内に全般検査を施工する工場がないため、本社(駿豆線)大場工場入場させるが、小田原 - 三島間はJR東海道本線を貨物列車として運行させなければならない。その流れは概ね以下のとおり(ダイヤの乱れなどにより手順が前後する場合や運行が中止される場合もある)。

小田原から三島
小田原駅(転線は、一旦大雄山方へ移動して行う)
①小田原駅2番線に定期列車が到着。1番線から定期大雄山行きが出発
②2番線の編成を1番線に転線
③2番線にコデ165牽引の輸送車両が到着(コデと輸送車両を解結)
④1番線に転線した編成が定期大雄山行きで出発
⑤JR貨物線に控車代用貨車(以前はワム形7両程度現在コキ106形3両程度)を牽引した列車が到着し、伊豆箱根との連絡線のポイントを通り過ぎて停車
⑥1番線に定期列車が到着。客扱い終了後ドア閉め。この編成を2番線側へ転線させ輸送車両と連結
⑦大雄山方の編成で輸送車両を牽引し移動、ポイントを切り替え連絡線方へ押し込み(連絡線途中まで)
⑧貨物線上の停車車両を推進(バック)させ、輸送車両と連結。押し込んだ車両を解結後、三島方向へ出発(途中、湯河原で時間調整)
a0057057_2015154.png⑨押し込みに使用した編成は1番線に戻り定期大雄山行きで出発
⑩1番線に定期列車が到着
⑪2番線に待機していたコデが回送列車で出発

輸送途中のアクシデント
牽引機関車が故障し、救援の機関車を待って三島駅での引き渡しが深夜になってしまったり、台風で東海道線に遅延が発生してしまい、旅客列車優先のため待避を余儀なくされたりと、これまで何回か輸送中の列車がトラブルに巻き込まれることがあった。右写真は、函南駅で長時間待避させられた時のものである。

三島駅
日中はほとんど使用されない7番線。回送列車を扱うときは9番線に一旦牽引機(ED30形電気機関車)が入線するため日中でも使用される(右写真)。
a0057057_1636386.pnga0057057_1640115.png

a0057057_1647289.pnga0057057_20511452.png

a0057057_20503577.png①大場からED30形電気機関車単機が単機回送され、9番線入線(その間、定期列車は上述の通り7・8番線を使用)
②小田原からの甲種輸送列車(JR)1番線到着。輸送車両が連絡線(通常は「踊り子号」が走る線)ポイント手前の位置になるよう停車 現在、連絡線ポイントを過ぎて停車に変更
③控車代用貨車と輸送編成を解結。そのまま、連絡線ポイントより沼津方へ進行し停車 輸送車両上り方に機関車を付け、連絡線ポイントより上り方へ輸送車両を移動
-この停止位置の変更は、輸送編成が手ブレーキ使用不可で(上輸送車両に貼付された連絡標)、控車(代用車)を切り離し後、何らかの理由で輸送編成が動いてしまった場合に停止させるすべがないためと思われる)
④定期列車が出発の後、伊豆箱根の牽引機が連絡線から1番線へ進入(写真上左:右側に移動し停車している控車代用貨車が見える)
⑤ホーム後方の輸送車両に連結(写真上右)
⑥大場へ向け出発(左写真:機関車後ろに停車中の控車代用貨車が見える)
⑦三島田町駅3番線に入線し、上下の定期列車(下りの続行列車と上り普通列車及び続行の特急「踊り子号」)待避
⑦大場駅到着後、推進で工場内へ押し込む
⑧JRの列車は富士へ向け出発

なぜ控車代用貨車が必要か
小田原駅の連絡線は社間の境界になるため電気的なつながりがない。そこで車両のやり取りをする場合、牽引する車両(JRは電気機関車。伊豆箱根はコデと通常の営業運転をしている電車)のどちらも走行ができない。無電区間内の長さを稼ぐため控車が必要。
一方、三島駅にも無電区間が存在するが、わずか数十センチのためその必要がない(毎日特急「踊り子号」が行き来する連絡線を使う。-JR1番線は伊豆箱根車両入線可)。

三島から小田原
普通に考えれば、往路が逆になれば良いのだけれど、そう簡単には行かない複雑な事情がある。
三島駅は、「踊り子号」の上り列車があるように、1番線あるいは1番線横の側線(下2・下3番線)から上り方へ出ることは可能なのだが、小田原の連絡線は貨物の下り線のみにしかない(下り列車でないと扱いができない)。そのため、上り列車は一旦相模貨物駅(大磯 - 平塚間)まで行き、下り列車となって入場時と同じ下り線を使ってやり取りをする。この場合、伊豆箱根の側では、大雄山方へ牽引すればよいので、営業車両は必要なくコデ165のみの対応となる。

三島駅(こちらも、転線は一旦大場方へ移動して行う)
a0057057_17364463.pnga0057057_2011430.png

①大場から前後にED30形電気機関車を付けた輸送編成が9番線へ入線(停車後、牽引してきた機関車と輸送車両を解結)
②JR1番線後方でJR貨物の機関車が待機。9番線の輸送編成を後部(大場方)の機関車で伊豆箱根の本線上へ引き出し、下3番線ポイントあたりまで推進
③1番線に待機していたJR貨物の機関車が連絡線から下3番線ポイント付近の輸送車両を連結。そのまま、下3番線を上り方へ移動し、輸送車両を留置(上写真左)
④留置輸送車両を相模貨物へ(上右写真:控車代用貨車は必要がないため連結なし)

小田原駅
①伊豆箱根2番線へコデ165到着。コデは大雄山方へ移動
②下り貨物列車で輸送車両が小田原駅下り貨物線到着(連絡線の先に停車)、推進運転で輸送編成を伊豆箱根側へ押し込み(輸送編成は控車代用貨車と解結。コデと連結)
③一旦2番線へ入線させ、定期列車が到着後大雄山へ向け出発

(参考資料:You Tube 他)
[PR]
by fbox12 | 2015-10-29 18:07 | 鉄道・バス