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102 NEC PC-8801

私的文化遺産 整理番号102
a0057057_11382223.jpgPC-8801は、1980年代当時日本電気(NEC、後に日本電気ホームエレクトロニクスへ移管)が販売していたパソコン御三家の筆頭格と謳われ、昭和56(1981)年11月から販売されたパーソナルコンピュータPC-8800シリーズの初代機である。販売価格228,000円。

概要:
PC-8800シリーズは、NECの半導体開発部門(電子デバイス事業グループパーソナルコンピュータ事業部)が開発しており、情報処理部門(情報処理事業グループ小型システム事業部)が開発した16ビットパソコンのPC-9800シリーズとは販売戦略が異なっていた。
PC-8801は、NECの8ビットパソコンであるPC-8001(・・私的文化遺産整理番号101)の上位互換機種であり、縦400ライン表示可能なビジネス用途もターゲットとした最上位機種という位置付けであった。I/Oやベーマガなどプログラム投稿雑誌やエニックスの賞金付ゲームコンテストも盛んになり、昭和57(1982)年にPC-9801が発売されたあとはPC-8001のソフトとの両活用でホビーユースに対応した人気機種というポジションにシフトしていった。

歴史:
当初は400ライン表示可能なビジネス機

基本仕様
当時のNEC社内での開発コードは「PCX-02」で、前身となる機種のPC-8001の仕様をほぼ全て継承しつつ、新しい機能を追加する上位互換を実現していた。
以下はPC-8801及び後継機PC-8801mkIIの仕様である。

CPU μPD780C-1(Z80A 4MHz相当)
搭載メモリ容量合計184KB
 RAM(メインメモリ) 64KB(4KBのテキストVRAM領域を含む)
 N88-BASIC ROM 40KB
 機械語モニタ ROM 8KB
 N-BASIC ROM 24KB
 漢字ROM(オプション、PC-8801mkIIでは標準実装)
 グラフィックVRAM 48KB(16KB×RGB3プレーン)
画面解像度(PC-8044家庭テレビ用カラーアダプタによりカラーテレビを使用可)
 640×200ドット / 8色(ドット単位に指定可) 1画面
 640×200ドット / モノクロ 3画面(COLOR@コマンドによりテキストキャラクター単位でカラー表示可)
 640×400ドット / モノクロ 1画面(専用高解像度ディスプレイ使用時)
テキスト表示
 80文字×25行、80文字×20行、40文字×25行、40文字×20行(いずれかを選択可)
 リバース、ブリンク、シークレット(キャラクタ単位に指定可)
 表示領域転送には、DMACコントローラを使用し、モードごとにテキストVRAMアドレスが変更される。
BASIC
 N88-BASIC
 N-BASICモードに切替え可
インタフェース(NECの表記はインターフェイス)
 モノクロCRT(コンポジット出力、ライトペン対応)
 カラーCRT(RGBセパレート出力方式、DINコネクタ)
 オーディオカセット(600ボー / 1200ボー)
 プリンタ(セントロニクス規格に準拠)
 シリアル(RS-232C規格に準拠、D-sub25ピン)
 ミニフロッピーディスク
メモリ構成
 搭載メモリ容量は合計184KBであり、Z80Aで直接扱えるメモリ容量(最大64KB)を越えていたため、バンク切り換えの手法が用いられた。N88-BASICの通常モードにおいて、アドレス0000H(Hは16進数を表す)から7FFFHまではN88-BASIC ROM(容量32KB)が割り当てられた。一方0000Hから7FFFHまでのメインRAMにはBASICプログラム(テキストエリア)が格納されていたが、ROMに隠れてCPUから直接アクセスできないため、任意の1KBを8000Hから83FFHまでの領域に割り当て直してアクセスする方法(テキストウィンドウ)が採られた。8400HからFFFFHまでの31KBにはメインRAMが割り当てられ、変数データやANK文字表示用メモリ、N88-DISK BASICなどが格納された。このメモリ構成により、当時の8ビットパソコンとしては異例の最大32KBのBASICプログラムを実行することができた。
200ライン表示
 RGBそれぞれ0%と100%の二階調を組み合わせて8色(0:黒、1:青、2:赤、3:マゼンタ、4:緑、5:シアン、6:黄色、7:白)のカラー表示を行っていた。この方式は後に登場した「アナログRGB」との比較で「デジタルRGB」と通称された。カラーパレット切り替え機能により8種類のパレット番号(0-7)を上記の8色から選んで任意の色に対応させることができた。また、モノクロ3ページのモードも存在し、例えば1ページ目のみを表示しながら隠れた2ページ目に描画をすることができた。
400ライン表示
 これまでのモニターに比べて2倍の走査線数を持つ高解像度(又は高細精度)タイプの専用ディスプレイがラインアップされ、400ラインの表示が可能となった。縦横比のドットピッチ間隔がほぼ同じになったため、漢字フォントの表示でも隙間を感じないよう精細に出来るようになり、日本語表示を必要とするビジネスマシンとしても使用できるようになった。
文字表示
 PC-8001と同等のANK文字表示用ハードウェアが残されており、高解像度画面の上に合成表示されていた。フォントをハードウェア的に展開するこの仕組みは文字表示についてVRAMへのデータ転送量が軽減されるため、ANK文字は高速表示が可能であった。このような構成は後のPC-9800シリーズにも継承され、日本語表示も可能な形で実装されている。
ROMに内蔵されたソフトウェア
 内蔵のROM-BASICは、N88-BASICを新たに採用した。PC-8001互換のN-BASICには、本体のモードスイッチかBASICの拡張命令(NEW ON命令)で本体を一旦リセットすることで切り替えて使用した。機械語モニタには簡易的なアセンブラと逆アセンブラの機能が含まれていたが、Z80ではなくIntel 8080の文法であった。
キーボード
 本体はキーボードと本体部分のセパレート型となり、拡張ボードを本体に内蔵できるようになっていた。キーボードはパラレル入力で、同時押しもできたが、SHIFTやCTRLなどを除いてダイナミックスキャンの回り込み防止用のダイオードが入っていない。
フロッピーディスク
 ミニフロッピーディスクインターフェイスを標準装備しており、5.25インチ1D(片面倍密度)、2D(両面倍密度、約320Kバイト)の外付けFDDが使用できた。DISK-BASICとしてN88-DISK BASICが用意されていた。また、8インチフロッピーディスクインターフェイスボードを介する事で、8インチ2D(約1Mバイト)の外付けFDDが使用できた。
PC-8001/PC-8801シリーズでは、5.25インチFDDは「インテリジェントタイプ」と呼ばれる方式を採用しており、ドライブ側にFDD制御用CPU(Z80系列)を搭載し、本体とFDDとの間でパラレルインターフェース(i8255互換)によりデータ転送を行っていた。
サブCPU側にプログラムを転送することで、FDD操作以外の計算処理も可能になっている。また、CPUがPIO転送を行う機種とは異なり、転送そのものに多くのメインCPUリソースを必要としないため、BGMを鳴らしたままでのデータアクセスなどが可能になっていた。この特徴は後継機にも引継がれている。
なお、8インチFDDは、本体CPUからDMAによる直接制御となり、より高速な転送が可能である。I/F形式はPC-9801と同じであるため、PC-9801用の5.25インチ2HDドライブや、3.5インチ2HDドライブを接続し、使用することも可能である。
拡張スロット
 PC-8801の特徴の一つである拡張スロットの仕様が公開されていたため、個人でも拡張ボードの自作が可能であった(しかし、実際に多用したのは工作機械や制御機器を製造していたメーカーである)。専用インターフェースの拡張ボードをメーカー個々にて作成し、ロボット、機器などの制御用に利用されていた。後に、これらの分野を視野に入れた物がFC-98シリーズへ、またRS-232Cで制御可能な物がPC-8200シリーズへと受け継がれていくことになる。
オプション
 漢字ROMボードを使用することで、N88-BASIC のコマンドレベルでグラフィック画面に漢字を表示できた。後にN88-漢字BASIC(後期はN88-日本語BASIC)も用意された。その他MIDIインタフェイスカード(PSGも2つ、6音搭載)、Intel 8088と128KBのRAMを搭載しMS-DOSを使用できる16ビットカードなども販売されていた。
 昭和58(1983)年に登場した後継機、PC-8801mkII(京セラが設計を担当)では、FDDを2基本体に内蔵可能とし、縦置きも可能な新しい筐体を採用した。また、キーボードは人間工学に基づいたステップスカルプチャー方式が採用された。 8801mkII以降の機種はFDDが本体内に内蔵可能となったため、内蔵FDD制御用サブCPUとしてμPD780C-1(Z80A相当、4MHz)とサブCPU用RAMが搭載された。漢字ROMが標準搭載されるようになり、ブザーがスピーカーに置換されると共に、従来のBEEP音のほかに、I/Oポートを制御することで、ソフトウェア的にパルスを生成できる単音の音源(BASICからCMD SINGで利用可能)追加され音程を奏でることが可能になった。
上記の2つの機種(後にPC-8800シリーズでは旧機種として分類される)は、テキスト画面の描画サイクルのDMA動作でメインCPUの処理が一時停止する等のハード仕様のため、動作速度やグラフィックの描画などが遅く、テキスト画面の表示を無効にし表示タイミングを無視して書き込む「高速モード」もあったものの、表示によるレスポンスを必要とするリアルタイムゲームでは、その恩恵を受けられなかった。
PC-8801登場時の昭和56(1981)年はコンピュータゲームの黎明期にあたり、アーケードではナムコの「パックマン」や「ディグダグ」、任天堂の「ドンキーコング」など鬼ごっこ風一画面アクションゲームがブームであった。RPGという名前はパソコン先進国のアメリカでさえ聞こえ始めたばかりの時期であったが、58(83)年末には国産RPGの「ザ・ブラックオニキス」がリリースされ、その後「カレイジアスペルセウス」や、「夢幻の心臓」「ハイドライド」「ドラゴンスレイヤー」など続編を生み出すようなゲームが出始め、「2D」「3D」「アクション」の3大RPGジャンルが確立するに至った。戦国SLGの代表作ともいえる「信長の野望」の第1作や、国内最初のグラフィックスAVGとも言われるマイクロキャビンの「ミステリーハウス」が発売されたのもこのころである。
このPC-8801mkIIからPC-8801mkIIFR/MRまで、CMキャラクターに武田鉄矢が起用された。

Z80互換モードを持つハイブリッドV30マシン、PC-88VAの失敗による88シリーズの終焉
昭和60(1985)年に登場したPC-8801mkIISR で、ホビーマシンとしてのPC-8800シリーズの地位を確立したが、元来、他社に先駆けてCPUクロックの高速化などを行っていたものの、8ビットCPUを使用する以上、基本性能の向上はほぼ限界に達しつつあった。昭和62(1987)年3月に発表した PC-88VAでは、NEC独自の16ビットCPU、μPD9002(8MHz、V50のカスタム品)を採用し、メインメモリは512KBを備え、大幅な性能向上を図った上位機種であった。外観でもFDDを横並びからPC-9800同様の縦並びとし、筐体も大きくなった。このCPUはV30としての動作に加え、8ビットCPU・μPD70008AC互換の高速エミュレーションが可能で、従来のPC-8800シリーズソフトウエアの大部分が互換モードで動作可能だった(一部ソフトはテキスト画面の仕様の差異などの理由もあり正常動作しなかった)。
VDPの搭載により640×400ドット/256色や640×200ドット/65536色、スクロール機能・複数画面の合成 といった強力なグラフィック機能、4096色中16色・サイズ最大256×256ドットで最大同時表示32枚のスプライト機能などを備えた。OSにも、MS-DOSVer.2とシステムコールが概ね互換である独自OS、PC-Engineを搭載していた。このOSではN88-日本語BASIC V3が動作し、N88-DISK BASICのディスクもファイルフォーマットを自動判別して読み込めた。また、高機能化したハードウェアをサポートするBIOSがROM内に整備された。しかしそのため、同社の16ビットパソコンであるPC-9800シリーズとのソフトウェア互換性はMS-DOSの基本的なアプリケーションに限られ、大多数のユーザーにとって互換性は無いも同然であった。
拡張スロットは、PC-9800シリーズのCバスと物理的にはほぼ互換性があるものに変更されたが、ソフトウェア的な実装の相違からPC-9800シリーズ用拡張ボード上のROM及びデバイスドライバ類は利用することは不可能であり、公式には非互換の独自スロットである(ただし非公式ではあるがPC-9800シリーズ用の増設RAMボードやSASI、SCSIインタフェースを増設することができ、フリーソフトなどでデバイスドライバやMS-DOSエミュレータ、PC-9801用ソフトへのパッチ等のソフトウェア的な改修、改造、開発により、その一部を利用することが可能であった)。
PC-88VAの後継機PC-88VA2/VA3では、ステレオFM音源(PC-8801FA/MAと同等)の採用などサウンド機能も強化され、互換性も少々向上した。VA3では容量9.3MBの3.5インチ2TD(2DD/2HDのディスクの読み込みも可能)ドライブを搭載(VA/VA2にはオプションで用意)した。付属ソフトには「アニメフレーマ」が追加された。なお初代VA用にはソフトウェアバージョンアップボードが用意され、辞書ROMと追加BIOS群の追加によりPC-Engineもバージョンアップ(V1.0からV1.1)でき、数値演算コプロセッサが装着できないこと以外はサウンドボード2(VA専用)と併せてVA2とほぼ同等の機能にすることが可能になった。
1980年代の終盤になると、日本国内ではPC-9800シリーズの普及など、ビジネスの分野だけでなくホビーユースでも16ビット機への移行が加速していた。PC-88VAは、同時期のライバル機となるSHARP X68000と比較された。X68000より安く既存のPC-8801より高いという価格設定、CPU速度やスプライト表示性能などはX68000より下、互換性が不完全、既にある16ビット機のPC-9800シリーズとの非互換性、同じ昭和62(1987)年に家庭用ゲーム機PCエンジンが発売されるなど、マイナス面も多かった。結局、その性能を発揮する16ビット専用ソフトが揃わないままシリーズは二代目のVA2/VA3で打ち止めとなる。
当時PC-9800シリーズは、NECのビジネスユースとの位置づけからサウンド面などで、PC-8800シリーズより劣っていた。そのため、8ビットパソコンでも能力が充分なロールプレイングゲーム、アクションゲームなどは、PC-8801で発売されるものも多かったが、PC-9801でも並行して発売されるケースもあった。グラフィックを多用しデータ容量が膨大となるアドベンチャーゲーム(特にアダルトゲーム)では、グラフィックの画質向上面で有利なPC-9801への移行が進み、NECとしてもハイエンド志向だったPC-9800シリーズのラインアップを見直して需要に応えなければならなくなっていた。NECは平成元(1989)年にPC-8800シリーズとPC-9800シリーズの両方のソフトウェアが利用できる PC-98DO を発売し、88シリーズと98シリーズの一本化を試みた。98DOではサウンドボード2やアタリ規格ジョイスティックが使用できないなどの問題があったが、PC-8801FE2/MCの発売を挟んで、次のPC-98DO+では解決させた。しかしこのことを踏まえてもほとんどのユーザーはそのままPC-9800シリーズに、一部はX68000などに移行していき、88シリーズは市場的に成功したとはいえず、この試み(失敗)で一応の完成をみて、88シリーズは完結した。

88シリーズ主なラインナップ
 PC-8801 昭和56年(1981)年11月-228,000円
 PC-8801mkII 昭和59(1983)年11月-model10 168,000円/model20 225,000円/model30 275,000円
 PC-8801mkIISR 昭和60(1985)年1月-model10168,000円/model20213,000円/model30258,000円
 PC-8801mkIITR 同9月-288,000円
 PC-8801mkIIFR 同11月-model10 99,800円/model20 148,000円/model30 178,000円
 PC-8801mkIIMR 同11月-238,000円
 PC-8801FH 昭和61(1986)年11月-model1098,000円・・4か月後にブラックカラーのmodel30(B) を発売。
  /model20 138,000円/model30 168,000円
 PC-8801MH 同11月-208,000円
 PC-88VA 昭和62(1987)年3月-298,000円
 PC-8801FA 同10月-168,000円
 PC-8801MA 同10月-198,000円
 PC-88VA2 昭和63(1988)年3月-298,000円
 PC-88VA3 同3月-398,000円
 PC-8801FE 同10月-129,000円
 PC-8801MA2 同10月-168,000円
 PC-8801FE2 平成元(1989)年10月-119,000円
 PC-8801MC 同11月-model1 169,000円/model2 199,000円

周辺機器
PC-8801には多くの周辺機器が揃えられた。また、PC-8000シリーズやPC-6000シリーズの周辺機器でも、そのまま接続して使用できるものもあった。

PC-8801-01 PC-8801用漢字ROMボード-PC-8801本体内に実装することにより、JIS第一水準の漢字約3000字と非漢字約700種が使用できる。
PC-8821 18ピン・ドットマトリックスプリンタ-18ピンヘッドにより、高印字品質が得られる。
 また、PC-8821-02漢字ROMボードを実装することにより、高速かつ鮮明な漢字プリントが行える。
PC-8822 18ピン・ドットマトリックスプリンタ-PC-8821に漢字ROMボードを標準搭載したもの。
PC-8834-2W PC-8031-2W用N88DISK-BASICシステムディスク-N88DISK-BASICをスタートさせるための両面倍密度システムディスクと未使用のフロッピィディスクの2枚組。
PC-885114インチ・モノクロ専用高解像度ディスプレイ-640×400ドットの専用高解像度モノクロディスプレイ。
PC-885314インチ・カラー専用高解像度ディスプレイ-640×400ドットの専用高解像度カラーディスプレイ。
PC-88818インチ標準フロッピィディスクユニット-2台の8インチ薄型ドライブを実装した標準フロッピィディスクユニット。1/2台目として使用する。インターフェイスボードPC-8881 FDC8が付属。
PC-88828インチ標準フロッピィディスクユニット(増設用)-2台の8インチ薄型ドライブを実装した増設用標準フロッピィディスクユニット。3/4台目として使用する。
PC-88868インチフロッピィディスク-未使用の8インチフロッピィディスクが10枚入っている。

SK-8204サウンドユニットMk2 (PC-8801用社外サウンドボード)-PC-8801mk2のサウンド機能をPC-8801に追加し、mk2用のソフトで音階の出力が可能になる。

(現機:廃棄/キィボードは元々なし)

(以上、記事内容 Wikipedia:平成27年1月9日更新から)
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by fbox12 | 2015-01-30 12:02 | PC・ネット