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010 山北駅(JR東海)

010 山北駅(JR東海)_a0057057_2073930.jpgやまきた

所在地:神奈川県足柄上郡山北町山北
所属・路線:東海旅客鉄道株式会社・御殿場線
電報略号:ヤタ
駅番号:CB06

山北町の中心部である山北地区に位置する駅。開業は明治22(1889)年2月で、昭和62(1987)年4月の国鉄分割民営化により運営事業者は日本国有鉄道(国鉄)からJR東海に代わった。かつては山北機関区を擁する山越えの拠点駅であり、山北町は鉄道の町として栄えた。
急行列車が停車していた時代もあったが、現在は普通列車のみの停車駅である。当駅で折り返す国府津方面行きの列車も設定されている。かつては東京駅からの直通列車も設定されていた。
松田駅管理の簡易委託駅である。利用客の減少を受けて平成25(2012)年3月17日のダイヤ改正においていったんは無人化されたが、自治体との協議の結果、地元のNPO法人「情緒豊かな町づくり」が山北町から委託をうけて運営することにより、5月26日に乗車券販売が再開された(営業時間は9:00~17:00。乗車券は、主な駅まで)。

歴史:
明治22(1889)年に開業した国府津駅 - 沼津駅間の東海道本線は、現行の熱海駅経由のルートでは山岳地帯を通過することから建設が困難とされたため、御殿場駅を経由するルートで建設された。そのため、山北駅も東海道本線の駅として開設された。
御殿場経由のルートには25パーミル(1000m進むと25m標高があがる勾配)という鉄道にとっては厳しい勾配区間が連続し、補助機関車(補機)による補助なしでは通過できなかった。山北駅では国府津方面から沼津方面へ向かう下り列車に補機を連結する作業が行われ、その補機の機関区が駅構内に設置された。鉄道が開通するまで何もなかった山間の集落は、箱根越えの要衝の駅を擁する町となり、活況を呈するようになった。大正から昭和初期にかけての最盛期には、650人もの職員が駅や機関区などで働いていたと言われる。
山北駅は、補機連結のほか、蒸気機関車に石炭や水を供給する役割も担ったため、急行列車も必ず停車していた。停車列車が増加すると、鮎寿司の駅弁や山北産のみかんが販売されるようになった。機関区では多くの蒸気機関車が待機し、大量の煙を上げていたために、「山北の雀は色が黒い」という言葉があったほどである。
しかし、昭和9(1934)年丹那トンネル開通を機に、駅の賑わいは消えていった。トンネルの開通によって東海道本線が熱海経由のルートに変更され、山北を通る路線が「御殿場線」という地方路線となったためである。停車する旅客列車・貨物列車の本数は削減され、それに伴って駅員・機関区の機関士も削減されていった。昭和18(1943)年には御殿場線の資材供出に伴う単線化と、山北機関区の廃止がなされた。
その後、駅裏手の機関区跡地には公園(山北町鉄道公園)が設けられ、御殿場線で使用されたD52形70号機が静態保存されている(D52 70号機の写真、谷峨駅の項にあり)。

年表:
明治22(1889)年2月1日 - 官設鉄道(当時は内閣鐵道局)の駅として、國府津驛 - 静岡驛間の開通時に開業。旅客・貨物営業を開始
明治34(1901)年2月5日 - 國府津驛 - 当駅間複線化、単線・複線の切替駅となる。
 6月11日 - 当駅 - 小山驛(現・駿河小山駅)間複線化
明治42(1909)年10月12日 - 線路名称制定、当駅を通る路線を東海道本線と命名
昭和9(1934)年12月1日 - 熱海驛 - 沼津驛間開通に伴い、東海道本線國府津驛 - 当駅 - 沼津驛間は御殿場線に改称
昭和18(1943)年5月15日 - 山北機関区廃止
 7月11日 - 御殿場線単線化。
昭和43(1968)年4月27日 - 御殿場線国府津駅 - 御殿場駅間電化に伴い、構内を電化(御殿場駅 - 沼津駅間の電化は、7月1日から)
昭和54(1979)年3月31日 - 車扱貨物の取扱い廃止
廃止時期は不明だが、駅近くに工場がある三菱瓦斯化学(旧・三菱江戸川化学)の専用線が接続していた。また、過酸化水素水専用車など三菱瓦斯化学保有のタンク車が当駅を常備駅としていた。
昭和59(1984)年2月1日 - 荷物の取扱い廃止
昭和62(1987)年4月1日 - 国鉄分割民営化によりJR東海が継承
平成3(1991)年3月16日 - 急行「あさぎり」廃止に伴い、優等列車の停車が消滅
平成10(1998)年3月14日 - 駅員の配置時間を12時間に変更、夜間無人駅に。
平成24(2012)年3月17日 - 直営駅より無人駅へ変更となる。
 5月26日 - 山北町との協議の結果、地元のNPO法人「情緒豊かな町づくり」に切符販売等を委託する。

駅構造:
ホーム
島式ホーム1面2線を有する地上駅。ホーム北側が1番線、南側が2番線であり、基本的に1番線を上り列車、2番線を下り列車が使用する。かつては、現在あるホームの南側にも島式ホームが設置されていた。
ホームの外側に1本ずつ電化された側線があり、電車の夜間滞泊が行われている。

ホームの使用状況
1番線 御殿場線 上り松田・国府津方面(当駅始発は2番線)
2番線 御殿場線 下り御殿場・沼津方面(一部列車は1番線)
国府津方面からの折り返し列車は2番線で折り返す。折り返し列車の停車時間の都合で2番線が塞がっている間は、沼津方面へ向かう列車も1番線に入線する。

駅舎・設備
駅の出入口は、構内北側と南側の2か所にある。
構内北側の出入口は木造の駅本屋(駅舎)になっている。駅舎からホームへの移動用に、1番線を跨ぐ跨線橋が設置されている。
構内南側の出入口は、ホーム東端から構内踏切で2番線を渡った先にある。ホーム端部・出入口ともにスロープになっているので、段差なしでホームに上ることができる。
松田駅管理の簡易委託駅である。乗車券販売等の営業時間は9-17時。但し、マルスは設置されていないため、管理駅発行の簡易委託乗車券のみで、調査により利用度の高い駅までの切符のみが販売される(販売される切符では自動改札機は通ることができない)。

路線バス:
富士急湘南バス
[松62] 西丹沢自然教室(谷峨駅・丹沢湖・中川温泉経由)
[松64] 中川温泉(谷峨駅・丹沢湖経由)
[松75] 大野山登山口 ※春・秋の土休日のみ(2014年は3月15日から運行)
[松62,松64,松66,松75] 新松田駅(向原(東山北駅)経由)

010 山北駅(JR東海)_a0057057_11301016.jpg山北町循環バス(富士急湘南バス)
<西部循環> 山北駅(日向・岸経由)
<南部循環(西回り)> 山北駅(日向・宿・向原(東山北駅)経由)
<東部循環> 山北駅(岸・宿・向原(東山北駅)経由)
<南部循環(東回り)> 山北駅(向原(東山北駅)・宿・日向経由)

写真:湘南230い11-22(日野 PB-RX6JFAA)

参考:Wikipedia「山北駅」(最終更新 2019年12月31日)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%8C%97%E9%A7%85

現地取材:2011.11.21
記事投稿:2011.12
最終調整:2020.1.19

by fbox12 | 2020-01-19 20:10 | 鉄道・バス